ジーコの主張

過去を恐れずに

[2007.07.07]

私のリオ・デ・ジャネイロでのオフ期間には、友人達と会う機会や多少ながら家族と過ごす時間があり、更には幾つかのテレビ番組にも出演しました。その内の一つである、Galvão Buenoが司会を務めるSportvチャンネルの番組「Bem, Amigos」では、後日大きな反響を呼ぶこととなった、1998年ワールドカップフランス大会に関しての発言を幾つかしたのです。何一つ真新しいことは言っていないのですが、数日間に亘り、かの時代の重要人物達が推論を異議しました。そして、今週のヨーロッパ・コネクションはこのことに関して述べます。

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まず私は、当時の取材で発言した内容と異なることは今回一切に口にしていないことを明確にしておきたく思います。若しかしたら、約10年という月日が経過していることで多くの人々は既に憶えておらず、従って番組の出演者内でこれほどまでのサプライズが生じたのかも知れません。でも、私は誰であっても、以前に私が受けた取材の場で発した内容と異なる何れかの記事を探し当てることが出来ないと明言します。

もう一つ明らかにしておきたい重要な点は、当時のブラジル代表に於いての私の任務に関してです。ブラジル代表のユニフォームへ誇りを持って戦った元選手であると同時に、世界中を旅しながら常に自己の生い立ちに誇りを持って伝え続けたブラジル人として、私はテクニカル・コーディネーターとしての挑戦を受けたのです。私はCBFの連中が信頼出来ないことを学ぶにはあの経験を生きる必要があったのだと、かのエピソード以降に常に発言しています。後悔はしていませんが、体験したことを考えると二度とやらないでしょう。テクニカル・コーディネーターとは、選手達とテクニカル・スタッフ、そして首脳陣も含めて、監督に関連する問題をアシストする責任を負う任務です。私の役目は、衝突防止を図るべく選手達との対話を試みて、組織の会長に問題の報告をし、監督の業務に弊害を来たさないように、代表に関わる活動のコーディネートを行うことでした。それが私の役割だったのです。

色々な問題と特に多くの代表関係者の手落ちが故に、選手をワールドカップの試合から除外した執行人として立場的に私が抜擢されたのです。更には、ロナウド選手を巻き込んだエピソードに取り組む姿勢を私が示さなかったと思った者さえ存在したのです。それならば、きっと実際に起こった出来事に関する知識不足故に、論ずる者には、選手を切るのは監督だということを明確にしておきます。このようにして私は日本代表を指揮しました。そして、仮に怪我などで選手を外す場合にはドクターに支持されて行うのです。実際にはこのように機能します。私は大きな衝突を避けるために長き期間に亘って選手を切った罪を負ってきたのですが、常に問われた時にはその件は私の責任ではないことを主張して来ました。

ロナウド選手のエピソードに関しては、彼はプレーが出来るか否かを判断するのは正に私の権限ではありませんでした。私の意見では、当日にドクターから聞いた診断に基づけば、ロナウドはプレーをしてはいけなかったのです。でも、その決断はリーヂオ・トレード医師の支持下にてザガーロ監督が下したのです。私は自分の意見を述べましたが、大変難しい状況でしたのでCBF会長自らもあの判断には参加するべきだったと思っています。

あの場に問題が生じていたと断言することに疑問の余地はありません。自己が果たすべく責任を負うべき人物が不足していたのです。ここが私にとっては大きなポイントだったと言えます。今となって多くの人物が姿を現して異なる推論で意見を言うことは簡単なことです。でも、フランスの地では事実は違いました。そして、更に多くの人物が敗北後にはその場から消息を絶ってしまったのですが、私は現場に居残ったのです。

私にとってはこの話に終止符はありません。この件を話すことでこれ程までの混乱を招くとは予測しておりませんでしたが、何時の日か再度問われれば今後も決して口を閉ざすことはありません。理由はシンプルなのです。私にとって、真実はあくまでも一つだけです。そして、時間と共に変化することはありません。実際に私は同じ発言を繰り返すことへの恐怖はありません。何故ならば、恥じるべき行為を行った者だけが過去を恐れるからです。私にも失敗や成功はありますが、常にベストを尽くすように試みたことを誇りに思っています。私は、フラメンゴ、ウディネーゼ、鹿島アントラーズ、そして日本代表でもそうであったように、今はフェネルバフチェでも取り組む姿勢は同じなのです。そして、今後も私の人生は常にそうであり続けるでしょう…。

それでは皆さん、また来週お会いしましょう!

ウン・グランデ・アブラーソ!

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