ジーコの主張

「強豪チームによる不正行為」

[2006.09.02]

Photo_23 日曜日に、私は今週のテーマに関して現在宿泊しているホテルのロビーで思案をめぐらせていたら、イタリア語を話している夫婦に出会いました。彼女が私の妻サンドラに、こちらイスタンブールの観光名所に関するヒントを与えていたところへ私が近づくと、イタリア人の夫には自分の事がわかったようです。私達はイタリアサッカーに関する話、今回のスキャンダルによる危機や、その他の話題に関して話し合いました。これがきっかけとなり、普
段とは異なるコラムを書くアイディアが浮かんだのです。分析や解決案よりも問いかけが主だと言えるでしょう。主題は、「ビッグチームまでもがなぜ不正行為を行うのか?」なのです。

勝利への旺盛さと欲望が巨大なる域に達したことで、単に実力的に敵に勝る事実のみで試合に挑む現状では満足出来なくなったのでしょう。どんなことをしてでも「勝利への確実なる保証」の必要性が生じるのです。疑いの余地すら存在しない真なる強豪クラブであるユベントスが、他の伝統的クラブ勢と一緒になって不正行為を働き2部降格の処分を科せられた事実が、イタリアサッカーの現状を招いたのだと言えるでしょう。世界有数の名選手数名を有しており、もしかしたら優勝をするためにはピッチ外での策略など必要ではなかったであろう、あのユベントスのチームでの出来事です。

私は、こちらも史上最強のアスリートの一人でもある、ツール・ド・フランスでドーピングが発覚した選手の一件が脳裏を過ぎりました。紛れもなく、彼は不正行為に頼らなくても最強の一人に輝いていたのでしょうが、更に満たす必要性に駆られたのです。記録を追及する陸上競技では主要大会のたびに新たなる事件が発覚します。そして、現時点での実行委員会の闘いは最先端のドーピング方法を暴いて、それらを回避することなのです。

私は過去から現在に至って人生の大部分を競技スポーツに携わりながら生きており、選手時代にはこの問題がこれ程までの規模へと発展するとは想像もしておらず、私にとっては奇妙な闘争でもあります。アメリカのNBAでは数多くの巨人達が不法手段及び薬物を使用しているとの疑惑に包まれており、それ故に代表で闘わないのではないかとも言われております。果たして真偽はどうなのでしょうか?正に我々は世界最大のバスケット・リーグに関して話しているのです。そして、テニスに関しては厳格なドーピング・コントロールが実施されており、既に多人数が排除されました。

薬物使用による不正行為のみでは満足出来ず、更には審判までも巻き込んでいるのです。敵よりも明白に実力で勝る、申し分のないチームを有していながらも、審判を通じて確実なる保証を手にしたがるのです。この種の悲劇を経験した最近の例ではブラジル、イタリアとドイツが挙げられます。処罰を受けた者もいれば、咎められなき人物も存在します。この件で重要なのは、現代ではインターネットを通じての賭博サイトが普及したことで利害関係は単なる勝敗には止まらず、誰しもがこのリスクに晒される可能性があり、決して他人事では無い事実を示すことなのです。正に莫大なる金額が関係しているのです!

実際には、目まぐるしいスポーツ・テクノロジーの発展と、規律委員会の努力と進化にも関わらず、不正行為の防止は困難なのです。次はどのような事件が待ち受けているのでしょうか?発生しないことを期待しているのですが、希望を持つのは不可能だと言えます。そして、私はいったいこれら全ての問題が辿り着く行き先は何処かと自問するのです。これら一連に関して正に我々は熟考するに値するでしょう…。

ということで、ウン・グランデ・アブラーソ!

それでは皆さん、また来週お会いしましょう!

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